2022年12月9日(金)に公開される二宮和也さん主演の映画
『ラーゲリより愛を込めて』
原作は辺見じゅんさんの「収容所 (ラーゲリ) から来た遺書」
小説を瀬々敬久監督が実写化した映画です。
シベリアの果てに存在する強制収容所「ラーゲリ」で捕虜となった主人公・山本幡男と日本人の仲間たちの過酷な生活が描かれる作品となっています。
今回は「ラーゲリより愛を込めて」について
- 1分で分かる、忙しい方の為の簡単ネタバレ解説
- 実話を元にしているのか?
- そもそもラーゲリとは?
- ラーゲリでの過酷な生活
- 物語の結末。山本幡男は生きて帰国できるのか?
- レビュー感想・まとめ
についてご紹介していきます。
本記事では収容所にいた山本幡男(やまもとはたお)さんの最期など、小説のネタバレを含みますのでご了承ください。
目次
『ラーゲリより愛を込めて』 1分で分かる!忙しい方の為の簡単ネタバレ解説
【ラーゲリより愛を込めて 簡単ネタバレ解説】
- 第2次世界大戦が終結した1945年。満州に侵攻したソ連により、地獄の強制収容所(ラーゲリ)に収容された山本幡男と日本兵の男たち。
- 満足に食べ物も与えてもらえず、さらには過酷な労働を強いられる日々。
- それでも「いつかは帰れる」と信じ、仲間たちにも諦めず生き続けることを強く訴える山本幡男。
- そんな中、山本幡男は余命3ヶ月の病にかかってしまう。
- 仲間に促されて遺書や本を書くも、最終的に兵士に見つかり没収されてしまう。
- 山本幡男は仲間に見守られながら、帰国することなく亡くなってしまう。
- しかし、仲間が遺書の内容を暗記してたことにより、無事に帰国できた仲間から山本幡男の妻へと遺書が届けられる。
ソ連の捕虜となった山本幡男は、希望を捨てずラーゲリと呼ばれる収容所で生き続けましたが、最後は遺書も没収されて亡くなりました。
しかし、辛い生活を通して絆が生まれた仲間に、遺書の内容を妻へと届けてもらったのです。
ここからは、物語のネタバレを詳しく解説した内容になります。
ラーゲリでの生活や当時の状況を深く理解することができるので、ぜひご覧ください↓↓↓
『ラーゲリより愛を込めて』は実話なの?
ー彼らがつないだ奇跡とはー
『#ラーゲリより愛を込めて』
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2022年12月9日(金)公開の映画『ラーゲリより愛を込めて』
主人公・山本幡男を演じるのは、二宮和也さん。
二宮和也さんと言えば「硫黄島の手紙」での圧倒的な名演技が記憶に残っている方が多いのではないでしょうか?
東京都小笠原諸島硫黄島で行われ、36日間にも及ぶ歴史的な激戦「硫黄島の戦い」を元にした物語でした。
これは2006年にアメリカで公開された作品で、クリント・イーストウッド監督が手掛けた大ヒット映画となりましたね。
今作『ラーゲリより愛を込めて』のストーリーは “ラーゲリ” と呼ばれるシベリアの収容所で、最後まで生きる希望を捨てずに生き抜いていく日本人捕虜の物語です。
結論から言うと
この映画は実話を元に制作された作品です。
ここでは
- そもそもラーゲリって何なのか。
- 「ラーゲリより愛を込めて」はいつの時代が舞台なのか。
という内容についてご紹介していきます。
当時、一体どんな状況・場所・生活だったのかイマイチよく理解できていない方の為に分かりやすく解説していますので、ご参考になれば幸いです。
そもそもラーゲリって何?いつの時代が舞台?
ラーゲリとは、ロシア語で捕虜たちが収容される場所のことです。
シベリアの果てにあるスベルドロフスクにある収容所『ラーゲリ』での過酷な日本人捕虜たちの生活が描かれます。
スベルドロフスク州はロシア連邦中央部の州です。
時代としては第2次世界大戦が終結した1945年。
ソ連は日ソ中立条約を破棄し、突如満洲に侵攻し日本は間もなく敗戦しました。
ラーゲリにはソ連の捕虜となった多くの日本人兵士たちが収容されていました。
その中の1人の日本人『山本幡男』当時36歳の一等兵の生涯の実話に基づいたお話です。
『ラーゲリより愛を込めて』”ラーゲリ”での生活はどんなものだったか?
<ラーゲリに連れていかれるまで>
まるで荷物や家畜のように、貨物列車のような車両の冷たい床に膝を抱えて人がすし詰め状態で詰め込まれて移動…。
体力をごっそり奪うほどの寒さで、排泄は床に開けられた小さな穴を使ってするように指示されていたが、僅かな距離すら移動する体力がない者もいて車両には目が痛くなるような悪臭が漂っていたそうです。
中には、そのまま静かに息を引き取るものもいたとか…。
ただ戦争は日本の敗戦により終わり、このまま日本へ帰れると誰もが信じていました。
実際は日本に帰してもらえず、行き着いた先は収容所の『ラーゲリ』だったのですが。
<ラーゲリでの生活>
一言で言うと、人間として扱われていない。
名前で呼ばれすらしない。極寒の地。
ソ連軍からはただの捕虜ではなく『戦犯』という扱いをされます。
朝早くから収容所での過酷な労働を強いられ、唯一の楽しみは朝の食事。
しかし、1日の食事は朝の1回だけで黒パンが一片だけなのです。
食べ物も満足に与えられない生活を余儀なくされる捕虜の人たち。
男たちは常にお腹を空かせる状態が続きます・・・
常に監視されており自由などありません。もし反抗したりでもすれば拷問や罰が与えられます。
毎日毎日、ずっと過酷な労働を繰り返すだけの日々。そんな生活に耐えられず逃げ出そうとする者は容赦なく射殺されてしまいます。
しかし、そんな生活の中でも山本は楽しみを見つけ1人の人間として一生懸命に生きようとします。
ロシア語で『ダモイ』、日本語で帰国。
ソ連から解放され、いつか必ず実現する日が来ると信じ続け皆んなを励ましてきました。
生きる希望を捨ててはいけないと。
収容所から脱出し、必ず日本で待っている家族にまた会えるはずだと本気で信じていました。
ラーゲリにいる日本人の中には、途中で耐えきれなかった人、そんな山本をよく思わない人もいました。
しかし、最終的には皆んなが山本を慕い、希望を捨てずにラーゲリでの生活に耐えていきます。
『ラーゲリより愛を込めて』原作の結末をネタバレ!”ダモイ(帰国)”は実現したのか?
山本幡夫は帰国する前に亡くなってしまう。
結論から言うと、帰国は実現しませんでした。
正しくは「山本の」帰国は実現しませんでした。
山本は日本へ帰国する事なく亡くなってしまったのです・・・
必死に収容所での生活に耐えてきた山本でしたが、途中から喉の調子が悪くなりラーゲリの医者からは中耳炎だと診断され続けていました。
しかし、喉の調子は悪くなる一方でした。そこでラーゲリの捕虜たちが大きな病院で診察してもらえるように自らの意思で命令に反き、山本のために死を覚悟してまでストライキを起こしました。
結果、大きな病院で診てもらうことが出来たのですが、時すでに遅し…
診断結果は喉頭癌性肉腫。喉の癌ですでに末期症状、手の施しようがなく余命3ヶ月でした。
収容所での生活も徐々に改善されたところもあり、内容はチェックされるもののハガキを日本に送れるようになった頃でした。
山本は妻へハガキを送り返事も届いていたのですが、妻からの返事が届かなくなっていました。
そんな中での入院生活。
ラーゲリの捕虜仲間たちは山本に生きて欲しくて懸命に尽くします。
しかし日々、山本は体力が落ち、みるみる身体が小さくなっていきます。
「もう長くはない」
そう思った捕虜の1人は山本に2冊のノートを渡します。
1冊は山本が『未来のために』とタイトルをつけ、命を注ぐように文字を書き連ねていました。
もう1冊は日本にいる家族に向けて遺書を書かせました。
その遺書を書き終えたのですが、見つかれば確実に没収されてしまいます。
そうならないために、捕虜の仲間たちは山本の家族に届けることが出来る日まで、見つかって没収されてもいいように複製を作成したり交代で遺書を保管したりして守ってきましたが、ついには全て見つかってしまいます。
山本が書いた遺書はなくなってしまいました…。
ついに山本は青く澄んだ空を病室から眺めながら微笑み、ゆっくりと目を閉じ1人で亡くなっていきました。
1954年8月25日、午後1時30分 享年45歳でした。
山本幡男さんが亡くなったすぐ後、長男・顕一の東京大学合格の知らせが届いたそうです・・・
最後まで希望を捨てなかった山本が死んでしまい、ラーゲリのみんなは悲しみ涙しました。
また『未来のために』というタイトルのノートは誰にも読まれぬまま亡くなってしまいました。
帰国したラーゲリの仲間たち
他の生き延びた捕虜たちは、最終的には終戦から11年後に全員日本に帰国することが出来ました。
帰国の日。
山本の死を経ての帰国。遺書もノートも奪われてしまった。
しかし、遺書は違った形で残されていたのです。
『記憶』です。
山本は生前に『頭の中で考えたことは誰にも奪えない』と言っていました。
そんな山本の言葉を思い出し、捕虜たちは協力して遺書が見つかって没収されてしまう前に一言一句、正確に記憶しようと考えていたのです。
遺書は本文、母、子供たち、妻への4構成になっておりそれを4人で分担して記憶していました。
なんとか遺書が全て見つかって没収される前に記憶することが出来ていたのです。
その記憶の遺書をそれぞれが書き出し、日本の山本の家族へそれぞれが直接届けに行きました。
すごい!
母や妻や子供たちは山本の直筆の遺書ではないけれど、文面から山本が本当に家族を思って書いてくれたものだと確信します。
彼が生きて帰って来ることは叶いませんでしたが、山本の思いは収容所で結束した捕虜仲間たちの手によって帰ることが出来たと思いました。
『ラーゲリより愛を込めて』作品を読んだ方の感想
映画『ラーゲリより愛を込めて』の原作は辺見じゅんさんの「収容所 (ラーゲリ) から来た遺書」
ここでお伝えしていくのは、原作の文庫本を読んだ方たちの感想です。
読んだ方の口コミ・意見を以下にまとめると
- 歴史の教科書より分かりやすいかも。
- 一読の価値あり。
- 衝撃が大きかった。
- 日本人として生まれて来たならば、一度は読んで頂きたい本。
- 人へ対する愛にあふれた素晴らしい本。
などの感想が見受けられました。
戦争が始まり、戦勝国と敗戦国が生まれるということ。共産主義が資本主義に変わるということ。
それらが国民にどのような影響を与えたのか。歴史の教科書より分かりやすいかもしれません。
シベリア抑留は、知っていましたが、長時間に渡り日本人が厳しい状況で助けあってきたことは知りませんでした。一読の価値はあります。
ノンフィクションなので小説のような抑揚がないので始めは読みにくい感がありますが、読み続けるうちに、それが返って心に刺さります。
シベリア抑留についての知識が全くなかったので衝撃が大きかったです。山本さんの生き方も素晴らしいですが、子どもに宛てた遺書は戦後の日本人全てが心に刻むべき物だと思うぐらいです。
日本人として生まれて来たならば、一度は読んで頂きたい本です。
人間の強さ、真髄、純真さ、残虐さを思い知らされました。
涙、涙で…最後は読み終わるが大変でした。1951年、1956年なんて私にとってはつい最近。こんな時代までこんなことがあったなんて…
人へ対する愛にあふれた素晴らしい本だと思います。
また、知というもが人にとっていかに大切かを教えてくる本だと。
原作『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』
『ラーゲリより愛を込めて』キャスト・登場人物
「ラーゲリより愛を込めて」登場人物・キャスト
- 山本幡男(やまもと はたお):二宮和也
- 山本モジミ(やまもと もじみ):北川景子
- 松田研三(まつだ けんぞう):松坂桃李
- 新谷健雄(しんたに たけお):中島健人
- 相沢光男(あいざわ みつお):桐谷健太
- 原幸彦(はら ゆきひこ):安田顕
- 山本顕一(やまもと けんいち)(壮年期):寺尾聰
登場人物の説明は以下の記事をご覧ください↓
『ラーゲリより愛を込めて』あらすじ
こちらは「ラーゲリより愛を込めて」公式サイトに掲載されているあらすじです↓
第二次大戦後の1945年。そこは零下40度の厳冬の世界・シベリア…。わずかな食料での過酷な労働が続く日々。死に逝く者が続出する地獄の強制収容所(ラーゲリ)に、その男・山本幡男は居た。「生きる希望を捨ててはいけません。帰国(ダモイ)の日は必ずやって来ます。」絶望する抑留者たちに、彼は訴え続けた――
身に覚えのないスパイ容疑でラーゲリに収容された山本は、日本にいる妻・モジミや4人の子どもと一緒に過ごす日々が訪れることを信じ、耐えた。劣悪な環境下では、誰もが心を閉ざしていた。戦争で心に傷を負い傍観者と決め込む松田。旧日本軍の階級を振りかざす軍曹の相沢。クロという子犬をかわいがる純朴な青年・新谷。過酷な状況で変わり果ててしまった同郷の先輩・原。山本は分け隔てなく皆を励まし続けた。そんな彼の仲間想いの行動と信念は、凍っていた抑留者たちの心を次第に溶かしていく。
終戦から8年が経ち、山本に妻からの葉書が届く。厳しい検閲をくぐり抜けたその葉書には「あなたの帰りを待っています」と。たった一人で子どもたちを育てている妻を想い、山本は涙を流さずにはいられなかった。誰もがダモイの日が近づいていると感じていたが、その頃には、彼の体は病魔に侵されていた…。
松田は、危険を顧みず山本を病院に連れて行って欲しいと決死の覚悟でストライキを始める。その輪はラーゲリ全体に広がり、ついに山本は病院で診断を受けることになった。しかし、そこで告げられたのは、余命3ヶ月― 山本により生きる希望を取り戻した仲間たちに反して、山本の症状は重くなるばかりだった。それでも妻との再会を決してあきらめない山本だったが、彼を慕うラーゲリの仲間たちは、苦心の末、遺書を書くように進言する。
山本はその言葉を真摯に受け止め、震える手で家族への想いを込めた遺書を書き上げる。仲間に託されたその遺書は、帰国の時まで大切に保管されるはずだった…。ところが、ラーゲリ内では、文字を残すことはスパイ行為とみなされ、山本の遺書は無残にも没収されてしまう。山本の想いはこのままシベリアに閉ざされてしまうのか!?死が迫る山本の願いをかなえようと、仲間たちは驚くべき行動に出る――
戦後のラーゲリで人々が起こした奇跡―― これは感動の実話である。
引用元:「ラーゲリより愛を込めて」公式サイト
『ラーゲリより愛を込めて』原作の結末ネタバレ!映画のあらすじ・感想レビューは?まとめ
この作品は決して楽しいものではありません。
実話なだけにより辛いです。
山本幡男さんや仲間達が収容所で送った過酷な生活を想像すると言葉も出ません。
しかし、日本より遠く離れた地で家族と離ればなれになり、過酷な状況下の中でも希望を捨てず、最後まで仲間と共に懸命に生きた山本の生涯は本当にすごいと思います。
山本はラーゲリでの過酷な生活で自ら命を絶つことについて
「自殺なんて考えたことありませんよ。こんな楽しい世の中なのに、なんで自分から死ななきゃならんのですか。生きていれば、必ず楽しいことがたくさんあるよ」
と話していました。
自分だったらこの状況でそんなことが言えるのか…。
これが実話だと思って考えると戦争は絶対に繰り返してはいけないと思い知らされると共に、今の私たちの何気ない日常が普通に送れるということは凄いことで1日1日を大切に生きなければならないと感じさせられます。
ラーゲリでは捕虜同士の様々なエピソードがあるのですがここでは詳しい内容は控えておきます。この映画はきっと映像で観ると辛い場面が多くグロい描写もあるでしょう。
でもそこから色々なメッセージが心に響く、そんな映画をぜひ劇場で鑑賞して下さい!
皆さんの感想も、コメントでお待ちしております。
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